概要関西電力の役員等20名余が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏やその関連会社から計約3億6千万円の金品を受領していたことが、2019年9月に明らかになりました。関電の発注した主として原発関係の工事費からの還流であることに疑いの余地はなく、それを受け取るのは犯罪のはず。 関電は、八木会長らが辞任し、第三者委員会は「ユーザー目線を欠いている」と指弾を行いました。 しかし、原発マネーの還流はすべて解明されたとは言えません。政治家への不正な資金の流れはなかったのかなどは、強制的な権限を持った捜査当局が動く必要があると考えました。 2019年12月13日に、関電役員12人に特別背任罪(会社法960条1項)、背任罪(刑法247条)、贈収賄罪(会社法967条1項)、所得税法違反(238条1項、120条1項)の疑いがあるとして、3272人が告発状を大阪地検に提出しました。2020年1月31日に、その後に届いた告発委任状を提出し、告発人は3371人になりました。 また、2020年6月9日には、関電第三者委員会が明らかにした役員報酬等の闇補填問題で、森元会長、八木元会長、岩根元社長を業務上横領と特別背任で追加告発しました。告発人は2172人(後の追加をあわせると2193人)になりました。 2020年10月5日、上記2つの告発状を一本化し、関電の第三者委員会、取締役責任調査委員会、コンプライアンス委員会の報告書で明らかになった事実等でブラッシュアップして、被告発人を森元会長ら9名に絞った告発状を提出し、大阪地検に正式に受理されました。 しかし、その後、強制捜査等は行われず、大阪地検は2021年11月9日に嫌疑不十分で全員を不起訴処分にしてしまいました。地検OBが多数関電役員に就任した経過があり、不都合な真実の隠ぺいに検察も加担するのでしょうか? 2022年1月7日、1194人で検察審査会に申し立てました。 検察審査会は8月1日、闇補填を「起訴相当」、不正発注等を「不起訴不当」と議決し、「更なる捜査を十分に行って事実を明らかにしてほしい」とこれまでの捜査のあり方も批判しました。 しかし、大阪地検は、その後も強制捜査を行うこともなく、12月1日、再び不起訴にしてしまいました。「起訴相当」とされていた闇補填事件は、再び検察審査会にかかりましたが、「起訴議決するに至らず」とされてしまいました。 また、2022年4月20日に関電コンプライアンス委員会が明らかにした3つの問題のうち土砂処分、土地賃借の問題を9月6日に告発しましたが、大阪地検は「当初告発の捜査の範囲に含まれる」として不受理にしました。そこで検察審査会に訴えましたが、「審査の対象となる不起訴処分が存在しない」として却下されてしまいました。 関電コンプライアンス委員会が明らかにした倉庫賃借の問題については、2022年10月12日に告発状を提出し、受理されたものの12月27日に不起訴処分となりました。2023年4月24日に検察審査会に訴えましたが、10月26日に不起訴相当の議決書が作成され、刑事責任の追及はすべて扉が閉ざされてしまいました。 これまでの取組2023.12.8 総会を開催し、会を解散することを確認しました原発マネーの不正還流に関与した役員の刑事責任を問うことは出来ませんでしたが、関電にコンプライアンス委員会の設置を促し、違法カルテルを公正取引委員会に自主申告させるなど一定の成果をもたらしたと総括し、今後の方針として以下を確認しました。1、関電の原発マネー不正還流を告発する会は、刑事責任の追及が終了したので解散する。 2、関電の元経営者の責任追及は、これからも継続する。そのため、株主代表訴訟原告団による運動に移行する。 3、これまで会員の皆様などから寄せていただきました会費やカンパの残金は、株主代表訴訟原告団に引き継ぐことにする。 2023.10.27 検察審査会、倉庫高値賃借事件を「不起訴相当」検察審査会の議決は、申立人らが指摘した点を「かなり疑わしい」「コンブライアンス上の問題点があるように恩われる」としながらも、「不当な利益を受け取ったとまで断言できる証拠はない」などとして、検察官の説明をうのみにした不当な決定です。2023.5.19 新たな株主代表訴訟を提訴
関電コンプライアンス委員会が公表した報告書に基づき旧取締役5人に対し新たな損害賠償請求を提訴しました。訴状の概要はこちら
2023.4.28 検察審査会、報酬等闇補填を「起訴議決するに至らず」起訴相当とされたにもかかわらず、大阪地検が再び不起訴とした報酬等闇補填事件について、検察審査会が「起訴議決をするに至らない」とする決定を出しました。大変残念です。弁護団声明は次のとおりです。弁護団声明2023.4.24 検察審査会に倉庫高値賃借事件の不起訴に関する申立2023.3.20 検察審査会から2月3日に提出した申し立て却下の通知理由は、「審査の対象となる不起訴処分が存在しないため」とのことでした。納得できません!2023.2.17 検察審査会に報酬と追加納税分闇補填問題で上申書検察審査会が起訴相当と議決し、大阪地検が再び不起訴としたことから2度目の検察審査会にかかっている闇補填問題に関して、起訴相当の再度の議決を求める上申書を提出しました。2023.2.3 検察審査会に土砂処分、土地賃借告発不受理に関する申立9月6日に提出した土砂処分、土地賃借の不正に関する告発状を不受理にした大阪地検の行為は実質的な不起訴であることから、検察審査会に申し立てを行いました。2023.1.21 大阪地検の不当な不起訴決定を許さない!検察審査会での勝利をめざす緊急集会
エルおおさかで約60名の参加のもと、井戸弁護士の講演と河合、大河弁護士のビデオメッセージを聞き、大阪地検の不起訴決定の不当性を再確認し、世論を盛り上げて検察審査会での勝利を勝ち取ろうと誓い合いました。記録動画を公開しました。 2022.12.27 10月12日に提出した倉庫案件での贈収賄疑惑を大阪地検、不起訴決定大阪地検から「嫌疑不十分で不起訴」の連絡がありました。弁護団は「問題となった賃料が高額であることは、事実として明らかです。国税庁も問題にしていた。関電のコンプライアンス委員会も同様。なのに何故検察庁が不起訴にするのか全く理解できない。」とのコメントを発表しました。 検察審査会に申し立てて闘いを継続します。 2022.12.26 地検前で起訴を行えとアピール2022.12.8 大阪地検が不起訴理由の説明 株主訴訟口頭弁論午前中に告発する会世話人や弁護団が大阪地検に出向き、担当の大塚検事から不起訴理由の説明を受けました。「必要な捜査はした」「立証に足るレベルに至らなかった」と言うので、「強制捜査したのか」訊いても答えず、答えなくてもいい理由を聞いても根拠にならない刑事訴訟法の条文を言うだけで、およそ説明になっていませんでした。詳しくはこちら午後からは株主訴訟第4回口頭弁論が開かれました。報告はこちら 2022.12.1 再び不起訴決定! 12.2 地検前で不起訴への抗議行動検察審査会で「起訴相当」「不起訴不当」と議決された告発すべてを、大阪地検が再び不起訴にしました。記者会見を行い、抗議行動を行いました。各容疑の今後の追及も含めて、詳しくはこちら2022.11.28 地検前で起訴を行えとアピールまた、9月6日に提出した土砂処分、土地賃借の不正に関する告発状を「当初の告発の捜査の範囲に含まれていたから」を理由に返却してきたことを「強制捜査も行わずろくに捜査もしないで、捜査の範囲に含まれていたとは、どの口が言う」批判しました。 2022.11.14 検察に弁護団が申入書提出12月1日までに起訴相当とされた報酬等の闇補填を起訴するかどうかの決定が行われることから、略式起訴ではなく公判が行われる正式の起訴を行うよう求める申入書を提出しました。一方、9月6日に提出した告発状(土砂処分、土地貸借事件)が10日付で不受理になり、返送されてきました。当初告発とダブっているという理由です。それならば、当初告発が「不起訴不当」と検察審査会から指弾されていることを受けて、検察自らが起訴すべきです。 2022.10.26 検察が捜査期間延長。地検前で起訴を行えとアピール10月25日、弁護団に大阪地検から「起訴相当の議決を受けた告発の再捜査の期間を1か月延長する」との連絡がありました。これを受けて、弁護団声明を発出しました。地検前に集まり、起訴を行なえとアピール行動を行いました。 2022.10.12 倉庫貸借の不正は贈収賄等にあたると新たな告発状を提出![]() 2022.9.6 土砂処分、土地賃借の不正で新たな告発状を最高検、大阪地検に提出検察審査会の議決を踏まえ、強制捜査を行って捜査を尽くして起訴を行うよう求める要請書を、大阪地検に提出しました。また、関電コンプライアンス委員会報告書が、原発に絡んでの土砂処分と土地賃借で高値発注を行っていたことを具体的に明らかにしたことから、これらの行為は特別背任、背任にあたると、関与した豊松元副社長ら3人を新たに告発しました。告発状、告発要旨 告発状の結語(p95)では「関西電力の旧経営陣も現経営陣も『たしかに約3.6億円の不正還流はあったが、不正発注、高値発注は絶対になかった。だから電力利用者に迷惑はかけていない。』と言い張っていた。そこをいわば防御の生命線としていた。ことここに至ってそれが嘘であることが明白となった」としています。 関電は「旧経営陣らが告発を受けていることについては重く受け止める」とのコメントを出したと報じられています。 2022.8.1 検察審査会から「起訴相当」の決定!
検察審査会から決定の通知がありました。不正・不適切発注、金品受領については不起訴不当、追加納税分の補填と役員報酬減額分の補填は起訴相当の議決です。審査会事務局の前で旗出しし、記者会見を行いました。弁護団声明はこちら
2022.7.4 検察審査会へ補充書を提出関電コンプライアンス委員会の報告書で新たに明らかになった事実をもとに、関電が土砂処分を高値発注していたこと及び土地を高値で賃借していたことは、電気料金を値上げの認可を受けた際の説明と矛盾しており、市民を裏切っていたことを主張する補充書を検察審査会に提出しました。補充書はこちら。関西電力は、株主からの請求で旧役員を自ら訴えた裁判や株主代表訴訟で、発注価格は適正であったという主張を繰り返してきており、関電の姿勢も問われます。 2022.4.28 検察へ再捜査申し入れ4月20日に関電コンプライアンス委員会の報告書が公開されました。土砂処分、土地の賃借、倉庫の賃借の3件で、吉田開発等に便宜を図るためにコンプライアンス違反があったと認定しています。新たにメール等のデジタル・フォレンジック調査も行い、根拠となるメール題名を記載しながら、経営陣の関与についても事細かく事実認定を行っています。捜査権のない弁護士等による委員会ですらこれだけのことを調べられるのに、大阪地検はなぜ不起訴にしたのか。地検に再捜査を申し入れるとともに、検察審査会へ起訴相当の議決を行うよう補充書を提出しました。地検申入書はこちら 地検では不起訴処分を行った検事が異動し、後任が対応。「記録を見てみます」との熱意の感じられない対応だったとか。 2022.4.18 会社訴訟第2回口頭弁論報告はこちら2022.3.28 検察審査会に33人で第3次申立
新たに委任状が届いた33人分の検察審査会申立てを提出しました。申立人は計1371人となりました。また、河井克之元法相らによる選挙買収事件で現金を受け取ったとされる34名が検察審査会の起訴相当の議決を経て起訴されたことを踏まえ、関西の市民である検察審査員に良識に照らして、検察の誤りを正し、起訴相当の議決をするよう求める補充書も提出しました。 2022.2.25 検察審査会へ補充書を提出役員報酬の闇補填がいかに意図的で問題であるかは、電気料金値上げの審議会で関電が役員報酬の減額に抵抗していたこと経過をみれば明らかです。そのことを説明した補充書を提出しました。この書類はHPにアップ可能と判断しました。関西の消費者は必読です。2022.2.2 検察審査会に144人で2次申立て1月7日提出分以降に意思表示の委任状が届いた144人分の検察審査会申立てを提出しました。申立人は計1338人となりました。2022.1.25 株主代表訴訟第3回口頭弁論報告はこちら2022.1.7 検察審査会に対し1194人で申立て
検察官が不起訴処分した事件を、くじで選ばれた11人の市民が審査する検察審査会に1194人で申立てを行いました。「起訴相当」「不起訴不当」の議決がされると、検察が再捜査を行います。最初の議決が「起訴相当」で再捜査でも不起訴になった場合は、再度、検察審査会が審査し、再び「起訴相当」の議決が出ると強制起訴されることになります。申立て後の記者会見で、河合弁護士は「大阪地検はあらゆる屁理屈を考え抜いて無理やりに不起訴にした。これを覆すのは市民の力の検察審査会。私は関西の市民の良識と力を信じています」、海渡弁護士は「これが犯罪ではないのなら何が犯罪になるのか。起訴することでうみを出してほしい」と話しました。 週刊金曜日の記事も参照してください。 2021.11.10 不起訴決定に対して地検前で抗議行動
2021.11.09 地検不起訴決定に対して緊急記者会見大阪地検から全員を嫌疑不十分で不起訴にするという通知がありました。緊急に記者会見を行い、弁護団が声明を発表しました。2021.10.26 地検前アピール反原子力の日に、「告発状の受理から1年が経過している。早く起訴を行え」とアピール。2021.10.6 地検への申し入れ&会社訴訟第1回口頭弁論
不起訴の方針を固めたという報道が相次いだため、弁護団が大阪地検に申し入れを行いました。また、8月26日以降に集まった起訴を求めるネット署名193人分を提出しました。検事は「不起訴という報道は根拠がない」と答えたそうです。 |
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